装甲悪鬼村正

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これは英雄の物語ではない。

 

 

一言で言うと『完璧』でしたね。マジで。

それぞれのキャラクターの哲学が迸るほど熱く、説得力もあり、単にゲーマーとしての三人称で傍観するだけではなく本気で入り込めましたね。

あとこういうゲームレビューするのは初めてなのでよくあるレビューの雛形で紹介させてもらいます。基本ネタバレ、無しです。安心してね。

 

シナリオ

とにかく長いことで有名な事は否めないが必要な長さ。と思ったが細かい説明がウザい。巨人の星の一球投げるのに一話使ったというエピソードを想起してしまった。

ヒロイン三人+トゥルールートという感じです。各ヒロインについて英雄編、復讐編、魔王編という名前がありトゥルーは悪鬼編という構成になっています。

 

内容

伏線と重厚なストーリー。並のものでは無い。

人の生死に関わる重要なシーンが多く、それは主に「迷い」という形をとって重大なテーマをゲーマーに訴えかけてくる。しかしながらキャラクター達は迷うだけで終わりではない。やはり行動が伴ってくる。その結果人がバンバン死ぬ。まさに残酷極まりない人間賛歌。この点俺はめちゃくちゃ評価したい。人の命の終わりというものはあらゆる創作で作者の暗喩やストーリー上の進行あるいは感動を呼ぶものとして扱われているものがとても多い。だがそんな生ぬるいものでは無い。もちろんこの作品でも暗喩として受け取ることは出来るのだが、その暗喩が徹頭徹尾隠されているように思えるそこも凄いんだよなぁ。

 

その他

エッチシーンは全部合わせて5秒で終わります。取って付けた感がある。物語の進行上の必要性もない気がする。悪鬼編はちょっと良かったけど…!

あと基本ガチガチのシリアスなんだけど偶にあるコメディパートがまぁまぁ面白い。寒く感じない。ニトロプラスの内輪ネタも斬新で良い。

 

感想

冒頭でも述べましたが、やはりアツい。そしてそれはDiesIrae系の「ウォォォォ!」「俺は負けない!」的なものではなくもっと退廃的な、いわゆる「ダークな」物語。

そして一番考えさせられたのが、この物語に悪は居るのかということ。これが一番なんですよね。是非プレイして体感して欲しいのですが、この作品の後に何をやっても味気なく感じるということは否定出来ません。

正義とは何か。悪とは何か。哲学の本ならばそういった類のものは沢山あるでしょうけど、このゲームは例示や言語的な解釈を許さない。キャラクター達は行動で正義を示してくれる。それでこそゲーマーは正義が如何なるものかを知る、あるいはそういう哲学を身をもって知ることが出来る。

また伏線についても相当凝られている。ミスリードや多様な伏線の回収それだけではなく示唆的な伏線も。これだけ濃厚な伏線を張っているのに物語としての整合性は全く崩れずにいる。むしろ引きたてている。あぁ凄まじい。これを書いたライターの才能を羨みます。

終わり方も「後味は良くはない」という意見がよく見られますが、その通りですね。「良くない」のではなく「良くはない」。悪鬼編のことですけどね。

この作品に悪はあるかどうか分かりませんが、やはり敵対する相手はいる訳で、主人公も宿敵としている相手は居るのですが、その相手が特に素晴らしい。何がって言われたらそれは…言えないですけど、とにかく、僕はね、僕はこいつの生き方大好きなんですよね。それだけ。「恨めない敵役」というものは最近の作品多いですが、「恨めない」って感じではないんですよね。もはやもう1人の主人公というか、出演時間は比較にはならないですけど、それほどに存在感がある。こいつに注目してゲームをプレイして欲しいですね。

 

 

ひとこと

1ヶ月みっちりプレイして全ルート終えたのですが、基本それぐらいかかると思ってください。ですがそれ以上に得るものがあるということは保証します。マジでちまちま数作やるよりこういうのカッチリ身をいれてやる方がいいと思いましたね。

後日談?として邪念編というのもあるらしいのでそれもオススメです。必ず「装甲悪鬼村正ロス」になるので。

あと言いづらいんですが、この作品の後に「ゴアスクリーミングショウ」をやったんですけど「装甲悪鬼村正」と比べてしまってあまり楽しめませんでした…悪くは無いんですけどね。装甲悪鬼村正をやった人は一旦そこで忘れた方がいいです。本当に。