新大学生に勧める10冊 まず5冊

タイトルの思い上がりように眩暈がする。

さて、それは置いておきましょう。数日後に大学を卒業するということで、何かしら新入生にアドバイスが出来たらいいなと思ってこういう記事を書くに至りました。いや、そんなわけない。教授でもないくせに、読書好きでずっとやってきた訳でもないくせに、読書量なんて月並みなくせに、そしてそもそも高々4年先輩なだけで勧めるような立場かお前は、と。だからね、本当に勧めたくて言ってるわけじゃないです、こんなブログ誰も読みませんしね。取り敢えずキャッチーなタイトル付けて自分の読書体験をこういう形でまとめたいというそれだけの欲望の発露なんですよ。でもね、割と本来の目的にも沿っている気もするんですよ。何故って?「新大学生に勧める10冊」で検索してみれば分かりますよ。Twitterタグでもブラウザ検索でも分かりますね。はい、見ました?読めるわけないものばかり勧めやがって、これに尽きます。あのね、そりゃ読んでいた方がいいでしょうよ、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神カラマーゾフの兄弟精神分析入門?読書に親しんでる人間ですら読めねぇよ。勉強しかしてこなかった高校生が急にそれらの本を読めるかってんだバカ野郎…。でもね…でもね…!ここまで強い口調で言ってアレなんですが読めますよ…読もうと思えば読めるんです。申し訳ないけれど読もうと思えば読める。だからね、俺は思ったよ。「勧める人間が悪い」ってね。大学教師や読書好きの社会人が勧めるような本って、素晴らしい本であることは確かなんだけど、な〜んか惹かれないよね。いや惹かれないんですよ。ただこの記事を書いてる人はですね、読書もそれほど好きではなかったし、新大学生に一番近くて大学生ではない存在になる人なんですよ。ちょっと親近感湧きませんか?そんな人が勧める本とガチガチの文学部出の社会人が勧める本の印象って全然違いませんか?違うよね。違うだろ。

だから、多少説得力を持って勧められるのかなと、多少興味を持って読んでくれるのかなと、一縷の希望を持って紹介していきたいと思います。

 

1.馬場ふみかファースト写真集「色っぽょ」

馬場ふみかファースト写真集「色っぽょ」 週プレ PHOTO BOOK

待って!ふざけてないから!いや、ふざけてないっていうのは嘘になるか。でもね、新大学生に勧める10冊といって真剣に考えるとまずこの本が出てくる。馬場ふみかめっちゃ可愛いじゃん。是非読んで欲しいよ。でもこれ啓蒙的な「読んで欲しい」じゃなくて、単純な「読んで欲しい」ではないだろうか…?……でも読んで欲しいんだからなんでも良いじゃん!あのね、本当に良いですよこの本は。

いやちゃんと説明しよう。写真集ってあなた買ったことあります?買ったことある方は別にこれ以降を読まなくてもいいけど…買ってみたら分かる。恥ずかしいのなんの、でも恥ずかしいって感情我々はなるべく封じ込んできてるわけですよ。快楽原則に従って。でもそれを敢えてやる、買う、見る、○○(これは個人の自由ですが)。そういう経験、30歳とかでやっても虚しいだけですよ。20代、敢えて恋愛もなんでも出来る時期にわざわざ恥ずかしさをお金で買って馬場ふみかの写真集を読む。別に馬場ふみかの写真集じゃなくても良いんですよ、要するに、今まで避けてきたようなこと、やりたいとかやりたくないとかそんな考えにすら及ばなかった行動を移してみること、それが大事なんです、それが馬場ふみかの写真集で出来るならいいじゃないですか。あのね、経験を軽視されている方、おられるかもしれません。でも新しいことを始めるってことは、新しいことを始めるという事実だけではなくて、その始めたという事実認識からも世界は変革していく訳です。何でもいいんです、読んだことない本を読もうや。

 

2.涼宮ハルヒの消失

涼宮ハルヒの消失 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

相場として京アニのアニメの完成度は高すぎるので、わざわざ原作を読まなくていいなんて思ってる人がいるかもしれません。ただこの本は素晴らしいですよ。またただの「読んで欲しい」だと思われちゃいそうなので新大学生向けの最もらしい解説をしましょう。この本は、あまり本を読まない人でも、こんなに素晴らしい物語があるんだと思えるであろう一番読みやすい本だと僕が思うからです。そうだな、クライマックスの主人公(キョン)の独白は一級品だと思う。SFチックな面を強調されがちではあるけど、内的世界の披歴、特に中高生の心理と、プロットの妙。何処を取っても素晴らしいと思うわけです。まさに読んで欲しい本。まぁラノベ、それも一番ぐらいに有名なラノベを読めないような新大学生なんていないでしょ。これを読めないぐらいなら、これ以降も読めないでしょうね。でも、読めないなんて事は有り得ませんよ。意味が取れないならまだしも、単に小説なんて文字追ってきゃ絶対読めますから。

 

3.まんが パレスチナ問題

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

この本は大学1年生から何回も読み返している本です。これは現実、世界が日本以外にもちゃんとあってそこで起きている事件を体感するためのものです。よく言われがちな「世界にはいろんな民族がいる」「いろんな貧しい人が居る」こんな文章から想起されるイメージなんてたかが知れてます。ちゃんと本を読みましょう。世界は繋がっていて、歴史はずっと続いているんだと。世界に目を向ける事、これは特に大事だって思います。自分と価値観が違う人が居るということ、戦争は昔起こった訳ではなくて今も起こり続けているということ。頭で、文字列で分かっていても、本当に分かる瞬間というのがある。ハッとさせられる。ジョジョ五部のキャラ、ペッシのセリフは本だけではなくいろんな分野で真理を突いている。「わかったよ、プロシュート兄ィ!!兄貴の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた!」 心で理解しないとね。でも…世界史専攻の人は退屈かも知れないね。

 

4.朽ちていった命

朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)

この本、ページ数こそ少ないですが、中身が詰まりに詰まっている。被曝というものがどれだけ恐ろしいのか身に染みて分かる。本当に怖い。理学部に入る人は自分の見識の浅さを再自覚するのに格好かもしれない。自分もそうでしたから。人間というのは複雑で細胞は日々生まれ変わっている。でもある放射線を浴びて、細胞が生まれ変わりをやめたら?たったそれだけで人間という存在の維持が根底から覆されてしまったら?身体は複雑ではあるけれど、物質でしかない…意識があるうちにだんだんと体が崩れてゆく怖さ。目に見えない放射線をちょっとしたミスで浴びただけなのに。何度も言いますが、本当に恐ろしい。恐ろしいからこそ読む価値がある。誰しもがこうなりたくないし、こうさせないようにしていた、が、こうなってしまった。たった1人の命、でも、命。責任?全てが霞む。この本を読んで人間という存在の根源に向かう。

 

5.ファイト・クラブ

ファイト・クラブ〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

ファイト・クラブは小説としても面白いけど、それより社会的な受容に対して一悶着あると思ってるんですよね。これを読んだ時は、あるいは見たときでも良いかな、映画は原作者も認めている出来なので是非どちらも見て欲しい、消失も同じですね。…まぁこれを読んだ時、「なんて世の中はどうしようもないんだ!」「資本主義はクソ!」なんて思わざるを得ないと思うんですよね、浅い感想でも結構!世の中は得体の知れない何かに操られているというある種の覚醒が起こる訳です、でもこれは宗教的でもスピリチュアル的な帰結でも何でもなくて、世の中の甘いお湯の中に浸かっていたという事実確認に近い気づき。でもこれは気づきの表層段階でしかなくて、「こんな世の中に投げ捨てられたけど、だから何?これからどうするの?」という問いに変わる。そして答えが分からずに終わる。というかこんな社会の真実を暴いた(新大学生目線)本が大ベストセラーになってるんだもん、それだけで心折れちゃうよ、というか俺は折れちゃったよ。その問いをね、繰り返しになるけれど心で分かってもらうための格好の材料がファイトクラブだと思う。バカにしてるわけじゃないよ、そう思わない人も沢山いるだろうしさ…あくまで自分の体験から話してるから行き違いは認めてください。
パレスチナ問題とも絡めて、世界がどうしようもないものだって気付くのはなるべく早い方がいいと、そういう意味でお勧めしたいなと思いました(偉そうだな…)。内容ほとんど言っちゃったけど、別にそんなことで損なわれる何かがある本じゃないですよ。たぶん。

あるいは…

5.闘争領域の拡大

闘争領域の拡大 (河出文庫)

これも個人的にはファイトクラブと被ってるところがあって、同じような説明になるかな。でもこっちの方がなんというか、うわってなる。具体的に言うなら、「これ書いてるの俺か?」ってなる。そこでささやかな共感と、ベストセラーであるという寂しさ、両方が襲ってくるわけですね。まぁファイトクラブと同じですが、こっちは隠にシフトしている感じ。みんな世界に辟易しててみんな嫌なんだよ、その事実がさらに嫌なんだよ。これがどうしようもなさなんだよ。って感じで…ちょっと説明しすぎたかな。まぁどうせ新大学生はこんなもの見ないだろうし、20〜30歳のよく分からないオタクの1人にでも刺さればいいか…なんてウソだよ!ウソウソ!たぶん文の構成が下手だし言いたいこと言っちゃうのが悪いんだわ。

 

おっと、あんまり続けると醜い自己反省がどんどん続いてしまうので一旦切りましょうか。まず5冊って書き足しておきました。残りの5冊ですが、たぶん書かないでしょうね…ハハハ…